福泉寺略縁起

 寺伝によると文禄年間〜慶長の頃(西暦1592〜1600年)徳川家康に仕えた千五百石取りの旗本で、長津田初代の領主岡野房恒という殿様が開基となり、村の鎮守として勧請した王子権現の別当寺として開創、僧栄存の開山と伝えられます。
 領主岡野家の祈願所でもあり、江戸時代を通じ岡野家の庇護の下に田畑山林などの寄進を受けました。
慶安二年(西暦1649年)、徳川三代将軍家光より四石五斗の朱印を賜りました。この朱印状は将軍が変わる毎に書き換える事になっており、最後のものは十四代将軍家茂のものである。

 福泉寺は王子神社の別当寺であり、また祈祷寺でもあったので、檀家は1件もなく、また明治維新後に別当職も無くなった為、寺は衰退の一途をたどりました。
 さらに明治二十年頃災火のため伽藍を焼失し、本尊薬師如来と日光、月光両菩薩は助け出されましたが、十二神将は一部が残っただけで、その他記録等は全て消失してしまいました。
 堂宇消失後、十数年ほど無住の状態になっており、境内は畑になっていましたが、明治三十年代に山崎戒心という僧が独力で小さな仮のお堂を建てて再興しました。
その後、本堂再建を念願として来ましたが、檀家も無く、先代住職が早く死亡し、兼務住職が寺を護持してきた時代もあり、なかなか再建ができませんでした。昭和四十年代にようやく本堂再建に着手し、昭和四十五年に完成しました。
 
 御本尊は木彫坐像の薬師如来。脇侍は日光、月光の両菩薩。
眷属の十二神将は江戸時代後期の作と伝えられています。
この十二神将は明治時代の火災の際、三分の二位が焼失したため、長い間修復できなかったが、昭和五十年代後半にり、残っていた部分を基にして修復を完了し、本堂須弥壇を荘厳しています。
 
境内案内

 
当山は武相寅年薬師の第二十三番霊場であるため、本尊薬師如来は12年に1度、寅の年にだけ御開帳します。
 お薬師さまは読んで字の如く仏さまの中でお医者さまの役割を果たす仏さまです。
 生きている私達がお薬師さまにおすがりすれば、人生の苦しみ悩みを取り除いて下さり、亡くなった方がお薬師さまのお導きを受ければ悟りを開くための真理の妙薬を授けて下さる、と言われております。
 したがって御開帳の年以外は御本尊のお厨子の扉は閉じていますが、本尊さまの薬の壺を持っておられる左手に五色のお手綱が結んであり、本堂正面、外の供養塔にまで伸びています。
これによりお薬師さまのお姿が拝めない時でも、この五色のお手綱を触る事により本尊さまと握手をし、お薬師さまの功徳を頂くことができるのです。

参詣順路

 
参詣順路は、まず本堂正面でお参りをして、お薬師さまに心と身体の健康を祈願します。次に、「ぼけ封じ観音」さまにぼける前のぼけ封じを祈願します。ぼけずに長生きは誰しもの願いです。観音さまの大慈悲におすがり下さい。
さらに左手に進むと本堂脇の「戒壇めぐり」に入る事が出来ます。
「戒壇めぐり」は本堂半周ほどの地下をめぐることが出来ます。戒壇めぐりの中は真っ暗ですが、右手の腰の高さの手すりにつたって進んで行くと、鉄の輪があります。そこはちょうど本堂真裏であり、またご本尊さまの真下になります。鉄の輪の先はお薬師の薬壺とつながっています。
真っ暗な「戒壇めぐり」の出口付近で、光が見えるとほっとした感じになります。ここで眼の見えるありがたさが実感できます。
 
戒壇めぐりを出て、「ぽっくり大師」に「ぽっくり祈願」を致します。
当山は関東八十八ヵ所第六十五番霊場でもあり、大師像を建立した折に「ぽっくり大師」と名づけました。「ぼけ封じさんでボケなくても寝たきりの長患いは嫌だ。」という檀信徒さまの声を聞き、「お薬師さまに健康を守って頂き、観音さまにボケを封じを願い、お大師さまにいつかお迎えが来るときは、お大師さまと同行二人の旅に赴きたい。」とそんな願いを込めて「ぽっくり大師」と名づけました。近年になってPPK(ピンピンコロリ)という言葉をよく耳にするようになりました。「普段はピンピン元気で亡くなるときには子供たちに面倒をかけずにコロリと逝きたい。」という世相を反映してか、ここ2〜3年で「ぽっくり大師さまに参詣される方が急増しました。
また、このお大師さまの足元には四国八十八ヵ所、関東八十八ヶ所のお砂が埋めてあります。
仏足石の所には坂東、秩父、西国の日本百観音霊場のお砂が埋めてあり、お参りしながら、お砂踏みができます。
お砂踏みとは、各霊場のお砂を踏む事により、その場にいながら、霊場巡拝が出来、功徳の頂ける遥拝法です

次に七福神を巡って頂きますが、元々は戒壇めぐりを出て、すぐの所に安置してありましたが、東日本大震災の時に布袋さまが、坂の下まで、落下。他の御像も台座がぐらぐらになってしまった為、現在の場所に移転しました。七福神が一つのお寺で全てお参りする事が出来るのは珍しいらしく、移転してからは多くの方がお参りして下さり、七つの福徳を頂いておられます。








最後に境内の一隅には澄んだ音色を響かせる水琴窟があります。
水琴窟は大きな瓶をひっくり返して地中に埋め、上から水を垂らす事により瓶に中で音が反響し、まるで琴をかなでるような音がします。
清らかな音色で心を癒して頂ければ幸いです。



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